2014年3月3日月曜日

■第1回徳洲会薬剤部九州・奄美・沖縄ブロック臨床業務研究会について徳洲新聞に掲載されました!!

≪2014年3月3日≫

九州・奄美・沖縄ブロック薬剤部
得意分野の情報集約を提案


九州・奄美・沖縄ブロックの薬剤部は2月16日、福岡徳洲会病院で第1回薬剤部臨床業務研究会を開催した。これまで他ブロックの研究会に参加していた関係者は、「ようやく自ブロックで開催することができました」と、一様に高揚感に満ちた笑顔。11病院46人の薬剤師が参集し、発表は20演題に上った。離島・へき地病院が抱えるマンパワー・機材不足などの問題に対し、各院の得意分野の情報を集約、互いに助言・支援し合う徳洲会グループのスケールメリットを生かした対策が提案された。

臨床業務研究会が初会合

「研究会をとおして助け合える関係を築いていきたい」と山川病院の田浦主任
単独の病院では実施が難しい勉強会や新人教育などを多病院共同で行えるのは、徳洲会グループの強みのひとつだ。徳洲会薬剤部会は薬物治療の質向上と知見の共有を目指し、20年以上前に臨床業務研究会を発足。当初は全国の薬剤師が一堂に会していたが、薬剤師数の増加にともない各ブロックで独自開催するようになっていた。
今回、九州・奄美・沖縄ブロック合同で初の研究会立ち上げに奔走した山川病院(鹿児島県)の田浦稔基・薬剤部主任は冒頭、「当ブロックは昨年度から合同の新人研修会を開始、今年はついに合同研究会を発足させることができました。こうした会を通じ、ブロック内で臨床経験を共有し、日々の業務を助け合える関係を築いていきたいと思います」と、熱く思いを語った。
徳洲会東京本部の高橋智・薬剤部代表も駆け付け、「研究会は始めるのも大変ですが、継続はもっと大変。何があっても年1回は開催するという気構えをもって頑張ってください」と、参集した薬剤師を激励した。
一般演題のなかでは、とくに瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)の伊東智子薬剤師が発表した「ここまでできる! 離島・僻地でのTDM」が議論を呼んだ。
福岡病院の平川部長は「第2回以降もぜひ開催していきましょう」と呼びかけた
同院は、奄美大島唯一の空港から車で約2時間という離島のなかのへき地に立地。TDM(血中薬物濃度モニタリング)は東京都の検査会社に依頼しているため、これまでは結果が出るまで最短でも4日かかっていたが、「検体(血液)の運搬経路や結果報告の方法などを同社と交渉した結果、最短で翌日には結果を入手できるようになりました」と、伊東薬剤師は報告した。
会場からは「どのように交渉したのか具体的に教えてほしい」など、多くの反響が寄せられた。
中部徳洲会病院(沖縄県)の喜多洋嗣・薬剤部長は、瀬戸内病院に応援に行った際に遭遇した心内膜炎の症例のエピソードを披露。
「有効な抗生物質が手元になく、当時は薬物動態をシミュレーションできるソフトウェアもありませんでした。万事休すのなか、八尾徳洲会総合病院(大阪府)の大里恭章・薬剤部長に電話で相談すると、平日の多忙ななか、すぐにシミュレーションしていただけました」(喜多部長)と、徳洲会のスケールメリットに助けられたことを紹介した。
喜多部長は「まず検査会社と交渉するなど自助努力が大切ですが、ほかに対処法がない緊急時は徳洲会のスケールメリットに頼るのも手だと思います」。
会場に参集した薬剤師に対しては、「各院の得意分野の情報を集約し、いざという時に助言・支援し合える体制をつくってはいかがでしょうか」(喜多部長)と呼びかけていた。
九州・奄美・沖縄ブロック第1回研究会には11 病院から46 人の薬剤師が参集
また、電子カルテを導入した結果、各種データを取りやすくなった経緯もあり、プレアボイド(薬剤師の関与により副作用などの不利益を回避・軽減した事例)を検証する演題も3題あった。データを解析し、日々の業務の問題点をあぶり出すことができた反面、そこにどのように介入していくかが今後の課題として表出した。
電子カルテへの体重誤入力による投薬量の間違いを発見した事例などは、薬剤師のリスクに対する嗅覚で対処できた面もあり、「将来的にはこうした誤りを検出できるシステムを構築する必要がある」という声が上がっていた。
演者のひとりである、福岡病院の柳原佳奈薬剤師は、「疑義照会を含め、治療に積極的に介入していくことが必要です」と強調した。
また、同ブロック初の研究会開催を祝して参加した湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の仲鉢英夫・薬剤部長が、「JCIについて」をテーマに特別講演。同院が一昨年、認証を取得したJCI(国際的な医療機能評価)の審査項目の一部を挙げ、薬剤部としてどのように安全性向上に努めたかを解説した。
最後に、福岡病院の平川雅章・薬剤部長が、「薬学生の学習意欲はますます旺盛になっており、就職の際は『その病院で何が勉強できるか』に注目しています。研究会を定期開催し、その期待に応えていきましょう」と呼びかけていた。


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