2026年7月30日木曜日

病院薬剤師の仕事と魅力:TDM・チーム医療・NST専門療法士【薬剤師のお仕事シリーズ⑥】

 私は病院薬剤師として22年間働いてきました。今回は私が一番詳しく語れる「病院薬剤師の仕事と魅力」をお届けします。薬局薬剤師との違いも含めて解説します。


病院薬剤師の仕事内容

調剤薬局と同じく調剤・服薬指導が基本業務ですが、病院薬剤師には特有の業務がたくさんあります。

入院患者さんへの服薬指導 外来の患者さんだけでなく、入院中の患者さんにも病棟に出向いて服薬指導を行います。入院患者さんは状態が不安定で高度なケアが必要なため、薬剤師の専門知識が特に活きます。

注射薬・輸液の調製 点滴への薬の混合(ミキシング)を無菌環境下で行います。

抗がん剤の調製 抗がん剤は被爆しないよう、安全キャビネットの中で厳重に調製します。

TDM(薬物治療モニタリング) TDMとは、血液中の薬の濃度を測定し、患者さん一人ひとりに合った投与量を医師と一緒に決める仕事です。これは病院薬剤師ならではの高度な業務です。「この患者さんには標準量より少なくすべき」「腎機能が低下しているから量を調整しよう」という専門的な判断をします。

チーム医療への参加 ICU・NST(栄養サポートチーム)・緩和ケアチーム・感染制御チームなど、多職種で構成されるチームに薬剤師として参加します。


病院薬剤師の魅力5つ

① チーム医療に貢献できる 医師・看護師・管理栄養士・理学療法士など多くの医療従事者と協力して治療を行います。「チームの一員として患者さんを助けている」という実感が持てます。

② 医師とのコミュニケーションが多い 「この処方はこう変えた方が良いのでは?」という提案を医師にできるのが病院薬剤師の特権です。処方提案が通った時の達成感は格別です。

③ キャリアアップが目指せる NST専門療法士・がん薬物療法認定薬剤師・感染制御認定薬剤師・医療安全管理者など、多くの専門認定制度があります。私自身もNST専門療法士・医療安全管理者・医療メディエーターなど多くの資格を取得してきました。

④ カルテ・検査データが確認できる 病院薬剤師はカルテにアクセスできます。「血糖値は?」「腎機能はどう?」「今日の血圧は?」と確認しながら服薬指導できるため、より質の高い薬学的ケアが提供できます。

⑤ 多種多様な医薬品を扱える 内服薬・外用薬だけでなく、注射薬・無菌製剤・化学療法薬など、あらゆる剤形の医薬品を取り扱います。薬剤師としての専門性が幅広く磨かれます。


私の病院薬剤師22年間のキャリア

私は2005年に徳島文理大学薬学部を卒業後、以下のような病院で経験を積んできました。

  • OK病院(313床)・KT病院(310床)で、病院薬剤師業務全般・NST事務局を担当
  • OT病院(132床)——離島の唯一の病院での勤務
  • YG病院(89床)——僻地の病院での勤務
  • IK病院(210床)——現在、薬局長

離島での勤務では、医師が1〜2名しかいない環境で薬剤師としての判断が求められました。「薬剤師が医師に近い役割を求められる場所がある」という経験は、私の薬剤師としての意識を大きく変えました。


病院薬剤師と調剤薬局薬剤師の違い

病院薬剤師調剤薬局薬剤師
勤務場所病院内(病棟も含む)薬局
扱う患者外来+入院患者外来患者中心
扱う薬注射薬・抗がん剤含む内服薬・外用薬中心
チーム医療医師・看護師などと密接に比較的独立
カルテ閲覧できる原則できない
給与やや低めやや高め

給与は調剤薬局の方が高い傾向がありますが、病院薬剤師は「チーム医療」「高い専門性」「多様な経験」という点で魅力があります。


まとめ

  • 病院薬剤師の特徴:入院患者への服薬指導・TDM・チーム医療参加
  • カルテ・検査データを確認しながら高度な薬学的ケアができる
  • NST・ICU・抗がん剤調製など専門性の高い業務がある
  • チーム医療に参加し、医師・看護師と協働できる
  • キャリアアップのための認定制度が充実している

次回は在宅医療薬剤師・学校薬剤師という少し特殊な働き方を解説します。


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調剤薬局・ドラッグストア薬剤師⑤ 

hospharブログ(専門情報)

2026年7月29日水曜日

調剤薬局・ドラッグストア薬剤師の仕事の違いを徹底比較【薬剤師のお仕事シリーズ⑤】

 「調剤薬局とドラッグストアって何が違うの?」という質問はよく受けます。同じ「薬剤師がいる場所」でも、仕事内容はかなり異なります。今回は両者の違いを詳しく解説します。


医薬分業とは何か

まず理解しておきたいのが「医薬分業(いやくぶんぎょう)」です。

医薬分業とは、薬の処方(医師の仕事)と調剤(薬剤師の仕事)を分離する制度のことです。

ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世(1194〜1250年)が「主治医が処方した薬を別の人にチェックさせた」のが始まりとされています。1240年には「医師が薬局を持つことを禁じる」法律が制定され、これが薬剤師制度のルーツです。

日本での医薬分業率は現在約70%以上。「病院を出て、処方箋を持って外の薬局に行く」というのが一般的になっています。


医薬分業の5つのメリット

①医師が診療に専念でき、薬剤師が調剤することで薬の使用がより安全になる

②処方箋により、患者さんの薬の処方内容が明らかになる

③かかりつけ薬局では薬の記録を保管してくれる。アレルギー・副作用歴を管理でき、安全性が高まる

④他の病院の処方と重複していたり、危険な飲み合わせがある場合、薬剤師が医師に問い合わせて処方変更につなげられる

⑤飲み忘れ防止のための一包化(ひとつの袋にまとめる)や、薬の情報を書いたメモの提供などができる


調剤薬局薬剤師の仕事

主な仕事内容

  • 調剤業務:病院で発行された処方箋をもとに薬を調剤する
  • 服薬指導:患者さんに服薬について説明する
  • 薬歴管理:処方状況や患者さんから得た情報を記録・管理する

向いている人

  • 正確性を重視してコツコツ仕事ができる人
  • 責任感がある人
  • 患者さんとのコミュニケーションが好きな人

調剤薬局では「かかりつけ薬局」として患者さんの健康を継続的にサポートします。同じ患者さんに長期的に関わることで、信頼関係が生まれ、変化に気づきやすくなります。


ドラッグストア薬剤師の仕事

主な仕事内容

  • 一般用医薬品(OTC医薬品)・サプリメント・健康食品の服薬指導・販売
  • 医薬品以外の商品(日用品・化粧品など)の管理
  • レジ打ちや品出しなど、薬剤師業務以外の仕事も担当することがある

向いている人

  • 接客が好きな人、コミュニケーション力が高い人
  • 幅広い健康全般の知識を身につけたい人
  • オールマイティーな薬剤師を目指したい人

ドラッグストアは接客の機会が多く、医薬品以外の知識も必要になります。「薬だけでなく健康全般のプロ」として活躍できる反面、業務の幅が広い分、負担も大きくなることがあります。


調剤薬局とドラッグストアの比較

調剤薬局ドラッグストア
主な業務処方箋調剤・服薬指導OTC販売・服薬指導
扱う薬医療用医薬品(処方薬)中心一般用医薬品(市販薬)中心
患者との関係継続的(かかりつけ)単発が多い
薬剤師業務外の仕事少ない多い(レジ・品出しなど)
必要な知識医療用医薬品・薬歴管理幅広い健康・美容情報

どちらが「薬剤師らしい」仕事か

よく薬剤師の間で話題になる問いですが、私はどちらも「薬剤師らしい大切な仕事」だと思っています。

調剤薬局では処方薬の専門知識を深められ、患者さんとの継続的な関係が持てます。ドラッグストアでは広い健康知識が身につき、普通に生活している方が「薬剤師に相談できる」という入口になっています。

どちらが自分に合っているかは、自分の価値観やライフスタイルによって変わります。


まとめ

  • 医薬分業:処方(医師)と調剤(薬剤師)を分ける制度。ヨーロッパ発祥で800年の歴史
  • 医薬分業のメリット:医師が診療に専念・薬の安全性向上・飲み合わせ確認
  • 調剤薬局:処方薬中心・患者さんとの継続関係・正確性重視
  • ドラッグストア:市販薬中心・幅広い知識・接客重視・業務範囲が広い

次回は病院薬剤師の仕事と魅力を解説します。


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薬剤師の仕事内容④ 

hospharブログ(専門情報)

2026年7月28日火曜日

薬剤師の仕事内容を完全解説!調剤・服薬指導・疑義照会とは?【薬剤師のお仕事シリーズ④】

 「薬剤師って何をしているの?」という問いに一番詳しく答えられる記事を書きます。処方監査・調剤・服薬指導・薬歴管理・医薬品管理……それぞれの意味と重要性を解説します。


薬剤師の主な仕事6つ

①処方監査・疑義照会(ぎぎしょうかい)

薬剤師の仕事は処方箋を受け取ることから始まります。まず行うのが「処方監査」——処方内容に誤りがないかチェックすることです。

確認する内容:

  • 薬の名前は正しいか
  • 用量(量)が多すぎ・少なすぎないか
  • 他の薬との飲み合わせは問題ないか
  • 患者さんの腎機能・肝機能に合っているか
  • アレルギー歴との矛盾はないか

疑問点がある場合は医師に電話して確認します。これを「疑義照会(ぎぎしょうかい)」と言います。疑義照会ができるのは薬剤師のみ。疑問が解消されない限り調剤してはいけないという決まりがあります。

薬剤師は「医療の最後の砦」です。

医師の処方に誤りがあっても、薬剤師がここで止めることができます。実際に私の経験でも「明らかに用量が多すぎる」「この組み合わせは危険」という処方を発見して医師に確認し、変更してもらったことが何度もあります。


②調剤・調剤鑑査

処方箋に従って薬を調剤します。内服薬(飲み薬)・外用薬(塗り薬・貼り薬)・注射薬など、剤形によって作業内容が変わります。

病院薬剤師特有の調剤:

  • 点滴(輸液)への薬の混合(無菌環境で行う)
  • 抗がん剤の調製(被爆しないよう安全キャビネットの中で行う)
  • TPN(完全静脈栄養)の調製

調剤後には「調剤鑑査」として、適切に調剤されているか別の薬剤師がダブルチェックします。


③服薬指導

患者さん(またはご家族・看護師・介護職員)に対して、薬の効能・服薬方法・注意点について説明します。

服薬指導で確認・説明すること:

  • この薬は何のための薬か
  • いつ・どのくらいの量・どのように飲むか
  • 食事との関係(食前・食後・食間など)
  • 飲み合わせに注意が必要な食品(グレープフルーツなど)
  • 副作用の初期症状と対処法
  • 飲み忘れた時の対応
  • 正しく服薬できているか(アドヒアランス)の確認

「薬を渡して終わり」ではなく、患者さんが自宅で安全・正確に薬を使えるよう支援することが服薬指導の本質です。


④薬歴管理(やくれきかんり)

患者さんの薬物治療の歴史を記録として残します。

薬歴に記録する内容:

  • 患者さんの基礎情報(氏名・年齢・アレルギー歴・副作用歴)
  • 処方・調剤内容
  • 服薬状況(飲み忘れはないか・残薬はないかなど)
  • 服薬指導の要点
  • 疑義照会の内容と結果

薬歴は「その患者さんの薬の歴史書」です。前回の記録があるから、今回の変化に気づける。「前回は血圧が140だったのに今回は160。何かあったのかな?」という視点でケアを継続できます。


⑤医薬品の管理

品質が劣化しないよう適切な環境で保管し、使用数量と在庫数量が常に一致しているか確認します。

特に注意が必要な薬:

  • 麻薬(医療用モルヒネなど):鍵付きの金庫で厳重管理
  • 向精神薬(睡眠薬・抗不安薬など):使用記録の厳格な管理
  • 毒薬・劇薬:誤用防止のための保管と管理
  • 抗がん剤:被爆防止と廃棄方法の管理

⑥医薬品の販売

処方箋が必要な医療用医薬品はもちろんですが、処方箋なしで買える市販薬(OTC医薬品)の中でも「要指導医薬品」や「第1類医薬品」は、薬剤師が不在の場合は販売することができません。

ドラッグストアで「薬剤師がいる時間帯」が決まっているのはこのためです。


「薬を渡すだけ」ではない

薬剤師の仕事を一言で表すなら「正しい薬を、正しい患者さんに、正しい方法で届ける」ことです。

その裏側には処方監査・疑義照会・調剤・服薬指導・薬歴管理・医薬品管理という膨大な専門的業務があります。


まとめ

  • 処方監査・疑義照会:医師の処方に誤りがないか確認。薬剤師だけに許された業務
  • 調剤:処方箋に従って薬を準備する
  • 服薬指導:患者さんに薬の正しい使い方を説明する
  • 薬歴管理:患者さんの薬の歴史を記録する
  • 医薬品管理:麻薬・向精神薬など特殊な薬を厳重に管理する

次回は調剤薬局とドラッグストアで働く薬剤師の違いを解説します。


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薬剤師になるには③ 

hospharブログ(専門情報)

2026年7月27日月曜日

薬剤師になるには?薬学部6年・国家試験・合格率まで全部解説【薬剤師のお仕事シリーズ③】

 「薬剤師になりたい!」と思ったとき、まず知りたいのが「どうやってなれるのか」ですよね。今回は薬剤師になるまでの道のりを、薬学部の選び方から国家試験まで詳しく解説します。


薬剤師になるための3ステップ

①薬学部(6年制課程)に入学・卒業する

②薬剤師国家試験に合格する 

③薬剤師免許を取得する

この3ステップを踏めば、薬剤師になれます。


なぜ薬学部は「6年制」なのか

2006年度から薬剤師養成課程は4年制から6年制に変わりました。

理由は「臨床で活躍できる薬剤師を育てるためには、4年では足りない」と判断されたからです。患者さんへの服薬指導・チーム医療参加・薬物治療のモニタリングなど、現代の薬剤師に求められるスキルは医師に近いものがあります。


6年制と4年制の違い

薬学部には「6年制」と「4年制」があります。

6年制課程(薬剤師になれる) 例:薬学科、医療薬学科、漢方薬学科など

→ 薬剤師国家試験の受験資格が得られます。

4年制課程(研究者向け) 例:薬科学科、創薬科学科、生命薬科学科など

→ 薬剤師にはなれませんが、製薬会社や大学での研究者を目指せます。ただし研究者には修士号・博士号が必要なことが多いため、結局6年以上勉強することになります。

重要:2018年度以降の入学者は、6年制課程を修了した人だけが薬剤師国家試験を受験できます。


学士・修士・博士の違い

薬学の世界では「学位」という言葉がよく出てきます。

学士(Bachelor's degree) 大学(6年制薬学部含む)を卒業して得られる称号。一般的な「大卒」はここに当たります。6年制薬学部卒業者は「修士相当」として扱われることが多いです。

修士(Master's degree) 大学院の修士課程(2年)を修了して得られる学位。「マスター」とも呼ばれます。

博士(PhD / Doctor's degree) 大学院の博士課程(3年以上)を修了して得られる最高学位。「ドクター」とも。製薬会社の研究職や大学教授を目指す場合は博士号が求められることが多いです。


薬剤師国家試験の概要

試験は年1回、毎年2月に実施されます。

スケジュール:

  • 1月上旬:願書提出
  • 2月中旬:試験日
  • 3月下旬:合格発表

試験の問題数と配点

区分問題数配点
必須問題90問180点
一般問題(薬学理論)105問210点
一般問題(薬学実践)150問300点
合計345問690点

合格基準

  • 正答率が基準(平均点と標準偏差を使った相対基準)を上回ること
  • 必須問題の全体正答率が70%以上、かつ各科目30%以上
  • 禁忌肢問題の選択数が2問以下

過去5年間の合格率はおおむね正答率60%台で推移しています。


薬学部卒業後に取得できるその他の資格

薬学部を卒業するといくつかの資格が優遇されます。

薬学部卒業で試験・講習が免除される資格

  • 登録販売者(受験資格・実地経験の免除)
  • 食品衛生管理者(試験なし・講習免除)
  • 水道技術管理者(試験なし)
  • 弁理士(選択科目の免除)

薬剤師免許で申請のみで取得できる資格

  • 衛生管理者(申請のみ)
  • 毒物劇物取扱責任者(試験免除)

弁理士は「知的財産に関する専門家」で、特許の申請などに携わります。「弁護士」ではないので注意。


薬剤師になるまでの費用は?

国公立大学の薬学部(6年間):約350万円 

私立大学の薬学部(6年間):約1,000万〜1,200万円

薬学部は理系の中でも学費が高い学部のひとつです。ただし薬剤師として就職すると安定した収入が得られ、国家資格として生涯使えます。

奨学金制度を活用する方も多く、病院によっては奨学金の返済支援制度があるところもあります。


まとめ

  • 薬剤師になるには①6年制薬学部卒業→②国家試験合格→③免許取得
  • 6年制(薬剤師養成)と4年制(研究者養成)があるので注意
  • 国家試験は年1回・2月実施・345問
  • 薬学部卒業後は複数の資格取得が優遇される

次回は薬剤師の具体的な仕事内容——調剤・服薬指導・薬歴管理を解説します。


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もし薬がなかったら② 

hospharブログ(専門情報)

2026年7月26日日曜日

もし薬がなかったら?骨折しても麻酔なしで手術!?【薬剤師のお仕事シリーズ②】

 「薬なんて大したことないんじゃ?」と思っている方、ちょっと待ってください。もし世界から薬が消えたら、私たちの日常は激変します。小学校の授業で子どもたちと考えたこの問いを、今回はブログでも一緒に考えてみましょう。


「もし薬がなかったら」——状況別に考えてみる

①毒に犯された時

今は解毒薬で対処できますが、薬がなければ毒に苦しみ続けるしかありません。スズメバチに刺された場合でも、アレルギー反応を抑える薬がなければ最悪の事態に。

②風邪をひいた時

今は解熱鎮痛薬・抗菌薬・鼻炎薬などで症状を和らげられます。でも薬がなければ「寝て治す」「我慢する」しか選択肢がありません。ただの風邪でも、重症化して命に関わることもあります。

③頭痛がする時

「痛みを我慢し続ける」か「寝るしかない」状況に。集中して仕事や勉強をすることもできません。

④骨折した時

現代では麻酔薬・鎮痛薬・抗菌薬のセットで安全に手術できます。でも薬がなければ——麻酔なしでメスを入れられることになります。想像するだけで恐ろしい。

⑤がんになった時

抗がん剤がなければ、外科手術で取り除くしか選択肢がありません。手術が難しい部位のがんは治療できないということになります。

⑥手術する時

麻酔薬がなければ「起きたまま手術を受ける」か「気絶するまで我慢する」しかありません。全身麻酔ができなければ、多くの大手術は不可能です。

⑦切り傷・肌荒れ

抗菌薬・消毒薬がなければ、小さな切り傷から感染が広がることも。歴史的に見ると、ちょっとした傷から命を落とした人もたくさんいました。

⑧便秘した時

一見軽い悩みですが、高齢者や術後患者では便秘が深刻な問題になることも。緩下薬がなければ苦しみ続けるしかありません。


歴史が教えてくれる「薬がない世界」

ペニシリン(抗菌薬)が発見されたのは1928年のことです。それ以前は、肺炎・梅毒・結核などの感染症で多くの人が亡くなりました。

現代の平均寿命が80歳を超えるのは、医学の進歩と薬の発展のおかげといっても過言ではありません。


薬があることで当たり前になっていること

私たちが「当たり前」と思っていることの多くは、薬のおかげです。

  • 風邪で病院に行って薬をもらえば、数日で回復できる
  • 手術の前に麻酔薬を使うことで、痛みを感じずに治療を受けられる
  • 糖尿病でも血糖降下薬・インスリンで普通の生活が送れる
  • がんでも化学療法で長く生きられる人が増えた

これら全部「薬があるから」実現していることです。


薬剤師の役割——「正しい薬を、正しい人に、正しく届ける」

薬は使い方を間違えると毒になります。薬剤師の大切な仕事の一つは、薬が「毒」にならないよう管理・指導することです。

  • 同じ効果の薬が重複していないか確認する
  • 飲み合わせが危険でないかチェックする
  • 患者さんの腎機能・肝機能に合った量になっているか確認する
  • 副作用が出ていないかモニタリングする

「薬があること」だけでなく「薬を正しく使える専門家がいること」が医療の安全を守っています。


まとめ

  • 骨折で麻酔なし手術・がんで外科手術のみ・感染で命が危険——これが「薬のない世界」
  • 現代の平均寿命が長いのは医薬品の発展のおかげ
  • 薬は使い方を誤ると毒になる
  • 薬剤師は「正しい薬を、正しい人に、正しく届ける」専門家

次回は「薬剤師になるには?薬学部と国家試験の全貌」を解説します。


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薬剤師ってどんな仕事① 

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