私は病院薬剤師として22年間働いてきました。今回は私が一番詳しく語れる「病院薬剤師の仕事と魅力」をお届けします。薬局薬剤師との違いも含めて解説します。
病院薬剤師の仕事内容
調剤薬局と同じく調剤・服薬指導が基本業務ですが、病院薬剤師には特有の業務がたくさんあります。
入院患者さんへの服薬指導 外来の患者さんだけでなく、入院中の患者さんにも病棟に出向いて服薬指導を行います。入院患者さんは状態が不安定で高度なケアが必要なため、薬剤師の専門知識が特に活きます。
注射薬・輸液の調製 点滴への薬の混合(ミキシング)を無菌環境下で行います。
抗がん剤の調製 抗がん剤は被爆しないよう、安全キャビネットの中で厳重に調製します。
TDM(薬物治療モニタリング) TDMとは、血液中の薬の濃度を測定し、患者さん一人ひとりに合った投与量を医師と一緒に決める仕事です。これは病院薬剤師ならではの高度な業務です。「この患者さんには標準量より少なくすべき」「腎機能が低下しているから量を調整しよう」という専門的な判断をします。
チーム医療への参加 ICU・NST(栄養サポートチーム)・緩和ケアチーム・感染制御チームなど、多職種で構成されるチームに薬剤師として参加します。
病院薬剤師の魅力5つ
① チーム医療に貢献できる 医師・看護師・管理栄養士・理学療法士など多くの医療従事者と協力して治療を行います。「チームの一員として患者さんを助けている」という実感が持てます。
② 医師とのコミュニケーションが多い 「この処方はこう変えた方が良いのでは?」という提案を医師にできるのが病院薬剤師の特権です。処方提案が通った時の達成感は格別です。
③ キャリアアップが目指せる NST専門療法士・がん薬物療法認定薬剤師・感染制御認定薬剤師・医療安全管理者など、多くの専門認定制度があります。私自身もNST専門療法士・医療安全管理者・医療メディエーターなど多くの資格を取得してきました。
④ カルテ・検査データが確認できる 病院薬剤師はカルテにアクセスできます。「血糖値は?」「腎機能はどう?」「今日の血圧は?」と確認しながら服薬指導できるため、より質の高い薬学的ケアが提供できます。
⑤ 多種多様な医薬品を扱える 内服薬・外用薬だけでなく、注射薬・無菌製剤・化学療法薬など、あらゆる剤形の医薬品を取り扱います。薬剤師としての専門性が幅広く磨かれます。
私の病院薬剤師22年間のキャリア
私は2005年に徳島文理大学薬学部を卒業後、以下のような病院で経験を積んできました。
- OK病院(313床)・KT病院(310床)で、病院薬剤師業務全般・NST事務局を担当
- OT病院(132床)——離島の唯一の病院での勤務
- YG病院(89床)——僻地の病院での勤務
- IK病院(210床)——現在、薬局長
離島での勤務では、医師が1〜2名しかいない環境で薬剤師としての判断が求められました。「薬剤師が医師に近い役割を求められる場所がある」という経験は、私の薬剤師としての意識を大きく変えました。
病院薬剤師と調剤薬局薬剤師の違い
| 病院薬剤師 | 調剤薬局薬剤師 | |
|---|---|---|
| 勤務場所 | 病院内(病棟も含む) | 薬局 |
| 扱う患者 | 外来+入院患者 | 外来患者中心 |
| 扱う薬 | 注射薬・抗がん剤含む | 内服薬・外用薬中心 |
| チーム医療 | 医師・看護師などと密接に | 比較的独立 |
| カルテ閲覧 | できる | 原則できない |
| 給与 | やや低め | やや高め |
給与は調剤薬局の方が高い傾向がありますが、病院薬剤師は「チーム医療」「高い専門性」「多様な経験」という点で魅力があります。
まとめ
- 病院薬剤師の特徴:入院患者への服薬指導・TDM・チーム医療参加
- カルテ・検査データを確認しながら高度な薬学的ケアができる
- NST・ICU・抗がん剤調製など専門性の高い業務がある
- チーム医療に参加し、医師・看護師と協働できる
- キャリアアップのための認定制度が充実している
次回は在宅医療薬剤師・学校薬剤師という少し特殊な働き方を解説します。
≪関連記事≫