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http://www.tokushukai.or.jp/media/news/pdf/976/pdf/976_3.pdf
湘南鎌倉総合病院薬剤部
遠隔教育システム始動
離島・へき地の病院を支援
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)薬剤部は、インターネットを介した遠隔教育システムを開始した。コスト的・時間的問題から勉強会への頻回参加が難しい離島・へき地病院の薬剤師に対する教育支援が目的。1月から山川(やまがわ)病院(鹿児島県)、名瀬徳洲会病院(同)を対象に試験的に開始、徐々に対象病院を増やし、3月には徳洲会グループ9病院が同システムを通じ薬物療法の知識習得に努めた。今後、さらに参加病院を増やしていく考え。
判断に悩む例の相談窓口にも
「離島・へき地のスタッフに学ぶ機会を提供したい」と湘南鎌倉病院の仲鉢部長(左)と大森薬剤師
離島・へき地医療は徳洲会の要のひとつだが、若い医療者を現地でどう教育していくか、また医療の質をどのように担保するか、これらは薬剤部に限らず全診療科・部署に共通した大きな課題だ。こうした問題をクリアするため、湘南鎌倉病院の仲鉢英夫・薬剤部長はウェブ会議システムを利用した遠隔教育の仕組みを考案した。具体的には、同院の院内勉強会、事例検討会の模様を、インターネットを通じて徳洲会病院にリアルタイムで配信する。勉強会は月2回開催の2部構成で、心疾患、急性腎障害など月ごとにテーマを決め、第1部は疾患説明や推奨される薬物療法、使用する薬剤の作用機序など知識を習得。
第2部ではテーマに沿った事例を提示し、初療から退院後までの要所で考えられる薬物療法、禁忌(きんき)薬、医師や看護師らに注意喚起すべき点などを話し合う。
この教育システムは勉強会参加のための交通費や移動時間が節約できることだけでなく、気軽に参加できることなどが特徴だ。双方向に音声や画像のやり取りが可能なため、湘南鎌倉病院から随時、他病院に質問を投げかけたり、疑問点を聞き出したりすることで、参加型の勉強会になるよう工夫している。
勉強会には徳洲会病院薬剤師に加え、近隣の薬局の薬剤師らも参加
当初は音声がうまく聞こえない、資料が見にくいなどの問題も発生したが、集音マイクを持ち込んだり、資料は事前配布したりと改善を重ね、各院システムエンジニアの力も借りながら体制を構築した。少しずつ対象病院を増やし、3月にはトライアル3病院に加え帯広徳洲会病院(北海道)、湘南厚木病院(神奈川県)、大垣徳洲会病院(岐阜県)、宇和島徳洲会病院(愛媛県)、長崎北徳洲会病院、宮古島徳洲会病院(沖縄県)が参加。
テーマは「心疾患」で、第1部は「虚血性心疾患」と「心不全」の発症機序や病態、選択肢となり得る薬剤などを紹介。第2部では事例に対して最も良い薬物療法は何か意見交換した。
参加病院からは事例についての質問だけでなく、判断に迷った症例について、どう対応すべきだったか相談がもちかけられたり、違うアプローチを取ったが、どちらが良いか検討したりする場面が見られた。
「毎年、多くのスタッフが離島・へき地病院に応援に入っています。各院に顔見知りの薬剤師が多く、ざっくばらんに話し合える関係性が構築できていることがシステム成功の秘訣だと思います」と、仲鉢部長はグループならではの結束の強さに胸を張る。
ウェブ会議システムは資料がメイン画面に、ウェブカメラを通した各院の様子がサブ画面に表示される
同教育システム導入に協力した山川病院の田浦稔基薬剤師は「当院は常勤薬剤師1人、応援薬剤師1人の体制で症例検討する仲間も限られた状況です」と明かし、他院薬剤師の意見を聞くことのできる同勉強会の有用性を強調した。勉強会開催に尽力した湘南鎌倉病院の大森俊和薬剤師は「院内勉強会では出なかった質問が他院から上がるなど、当院スタッフにとっても勉強になります」と、主催病院側にも良い影響が出ている。現在、勉強会を配信しているのは湘南鎌倉病院のみだが、今後、参加病院が増えれば勉強会の主催は各院のもち回りにすることも検討。仲鉢部長は「各院で得意分野や経験症例が違いますし、当院は急性期病院ですから、慢性期の薬物管理などについては離島・へき地病院に教えていただくこともあると思います」と、徳洲会のスケールメリットを生かした知識・経験のシェアを提案。
同システムは利用時のやり取りを録画できるため、参加者からはeラーニング(インターネット上の教材を用いた学習)に活用できるようウェブ上にアップしてほしいとの声も上がっている。
同システムの導入を支援している徳洲会インフォメーションシステム(TIS)の藤村義明・開発部長は「同時接続は40カ所と制限があるため申請は必要ですが、コストと移動時間を気にせず気軽に他院の方と意見交換できるのが最大のメリット。勉強会のほかに各部会の会議や情報交換会などに利用されています」と積極利用を勧めている。
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