こんばんは、田浦マインドです。
プロブレムリストには複数の問題が挙がることが多いです。しかし、すべてを同時に解決しようとすると、限られた時間の中では対応しきれません。今回は「どの問題を最優先に解決するか」——プロブレムの優先順位の決め方を解説します。
優先順位の基本原則
プロブレムリストの優先順位の基本的な考え方は「リスクの大きさと緊急性」です。
最優先(Priority 1):早急にリスク回避が必要
医師に疑義照会・情報提供が必要な問題です。
例)
- 併用禁忌薬の発見
- 副作用の発現(現在進行中)
- 入院の契機となった疾患に関する問題
第2優先(Priority 2):リスクはまだ起きていないが、起こりうる可能性あり
すぐに問題が起きているわけではないが、放置すると将来的にリスクになる問題です。
例)
- 併用注意薬の確認
- 副作用発現の可能性
- 服薬ノンコンプライアンス
- 腎機能低下による薬剤量の見直し
- 入院の直接の契機ではない疾患の管理
実際の症例で優先順位を考える
78歳女性、高血圧・心房細動・骨粗鬆症・不眠の患者さん。
処方:ワルファリン3mg・ニフェジピン40mg・ゾルピデム10mg・アレンドロン酸35mg週1回・フロセミド20mg
発見された問題:
- A)PT-INR 3.2(治療域2.0〜3.0を超えている)→出血リスク
- B)ゾルピデム10mg(高齢者のBeers基準に該当)→転倒・骨折リスク
- C)アレンドロン酸の服用方法(起床時・水200mL)が守られていない可能性
- D)フロセミドで電解質異常の可能性(低カリウム)
あなたなら、どれを最優先にしますか?
答えと解説
最優先:A(PT-INR 3.2)
PT-INRが治療域を超えていることは「出血」という即時リスクです。疑義照会・至急確認が必要な、命に直結する問題です。これを最優先にしない理由はありません。
第2優先:B(ゾルピデム高齢者)
転倒→骨折→寝たきりというリスクの連鎖があります。Beers基準に該当する薬剤の整理は重要な中長期課題です。
第2〜3優先:D(フロセミド電解質)
低カリウム→ワルファリン感受性変化という連鎖はAの問題とも関連します。直近のK値の確認が必要です。
第3優先:C(アレンドロン酸服用方法)
服用方法が守られていなければ効果なし+食道傷害リスクがありますが、命の危険性は即時ではありません。次回来局時に確認できます。
「正解は1つではない」と理解する
優先順位の決め方に絶対的な正解はありません。大切なのは「なぜその優先順位にしたか」という根拠を語れることです。
上記の例では「Aが最優先」としましたが、患者の状態によってはBが最優先になることもあります。
**POSの力は「優先順位に根拠を持てること」**です。
プロブレムリストの見直し(監査)
POSの最後のステップは「監査(オーディット)」です。
実施したケアが適切だったか、患者のQOL向上に貢献したかを評価します。
実施時期の例:
- 病棟薬剤師:担当者変更時・退院指導時
- 週1回や月1回など定期的に
- 薬剤部内や他部署とのカンファレンスで
このようにPOSのサイクルを回し続けることで、患者の問題解決が継続的に行われます。
実際の臨床でのPOSの使い方
1症例で全てのプロブレムリストを抽出し、全ての初期計画を立てることは、1日の限られた時間では難しい場合があります。
現実的なアプローチとして:
- 優先順位の高いプロブレムから取り組む
- ここぞという症例・症例発表の時に活用する
- 時間と内容のバランスを意識する
POSは毎回全力で使うのではなく、「常日頃から患者の問題を意識する考え方として持ち続ける」ことが重要です。
まとめ
- 優先順位の基本:①緊急リスクがある問題→②リスクの可能性がある問題
- 最優先は「今すぐ医師に疑義照会が必要な問題」(併用禁忌・副作用発現・命に関わる問題)
- 正解は一つではない。「なぜその優先順位か」の根拠を持つことが大切
- POSは「常日頃から患者の問題を意識する考え方」として活用する
次回から「臨床推論シリーズ」として、薬剤師に必要な臨床推論の基礎を解説していきます。
≪関連記事≫
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。