2026年8月30日日曜日

バイオシミラー(BS)の活用:RA患者の医療費負担を考える【RAシリーズ⑩】

 生物学的製剤は非常に高額です。しかしバイオシミラー(BS)の普及により、患者さんの医療費負担を大きく軽減できる時代になりました。薬剤師として知っておくべきBSの知識を解説します。


生物学的製剤の薬価は高額

まず現実を直視しましょう。

主な生物学的製剤の薬価(2024年4月時点)

製品薬価
インフリキシマブ(レミケード®)100mg¥54,950
エタネルセプト(エンブレル®)50mg¥18,359
アダリムマブ(ヒュミラ®)40mg¥48,988
ゴリムマブ(シンポニー®)50mg¥106,324
トシリズマブ(アクテムラ®)400mg点滴¥54,665
アバタセプト(オレンシア®)250mg点滴¥54,444

3割負担でも患者さんの毎月の自己負担は数万円になることがあります。


バイオシミラー(BS)とは

バイオシミラー(Biosimilar)とは、先行バイオ医薬品(先発品)と「類似する」生物学的製剤です。

先行品との関係

  • 品質・安全性・有効性が先行品と同等であることが確認されたもの
  • 先行品の特許期間満了後に他メーカーが製造・販売

薬価:先行品の約40〜60%程度


主なRAのBSと薬価

先行品バイオシミラー薬価(先行比)
レミケード®インフリキシマブBS先行品の37.7%
エンブレル®エタネルセプトBS先行品の61.2%
ヒュミラ®アダリムマブBS先行品の46.2%

インフリキシマブのBSは先行品の約37.7%まで下がっています。

例)インフリキシマブ(66.7kg未満の患者・4週間):

  • 先行品:約¥32,970(3割負担)
  • BS:約¥12,436(3割負担)

1回あたり約2万円以上の差。年間では大きな節減になります。


バイオシミラーへの切り替えの考え方

BSへの切り替えは「先行品で安定している患者さんをBSに変更する」という場面が多くあります。

切り替え時の注意点

  • 患者さんへの十分な説明と同意(BSの同等性・先行品との違い)
  • 切り替え後の経過観察(有効性・安全性の確認)
  • 患者さんが不安を感じる場合は無理に切り替えない

切り替えのメリット

  • 患者さんの医療費負担の軽減
  • 病院・薬局の費用削減(医療経済への貢献)

JAK阻害薬との医療費比較

JAK阻害薬は内服薬のため、点滴の化学療法室料(約¥1,350)がかかりません。

4週間あたりの標準投与での3割自己負担(2024年4月)

薬剤4週間での3割負担
インフリキシマブ(先行品・66.7kgまで)¥32,970
インフリキシマブBS¥12,436
エタネルセプト(先行品)25mg×4本¥22,030
エタネルセプトBS 25mg×4本¥13,470
アダリムマブ(先行品)40mg×2本¥29,390
アダリムマブBS 40mg×2本¥13,580
トファシチニブ¥40,700
バリシチニブ¥40,350
ウパダシチニブ¥38,930

医療経済と薬剤師の役割

「有効性・安全性に加え、経済性も考え、患者さんと共有意思決定によって治療方針を決定する」——これがTake Home Messageにも含まれています。

薬剤師が医療経済に貢献できる場面:

① バイオシミラーの情報提供 「先行品と同等の効果・安全性が確認されているBS製剤があります。切り替えることで自己負担額が約半額になります」

② 高額療養費制度の案内 生物学的製剤を使用している患者さんには、高額療養費制度の活用を案内する。月の医療費が自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。

③ 特定疾患医療費助成制度の確認 一部のRA患者さんが対象になる可能性がある場合、確認を促す。


まとめ

  • 生物学的製剤の薬価は非常に高額(月数万円の自己負担)
  • バイオシミラー(BS)は先行品の約40〜60%の薬価
  • 主なBS:インフリキシマブBS(37.7%)・エタネルセプトBS(61.2%)・アダリムマブBS(46.2%)
  • BS切り替え時は患者への十分な説明・切り替え後の経過観察が重要
  • 薬剤師はBSの情報提供・高額療養費制度の案内で医療経済に貢献できる

次回は「RA患者へのワクチン接種・手術時の休薬管理」を解説します。


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