2026年6月1日月曜日

病院薬剤師の1日スケジュール【22年目が大公開】薬学生・就活生が知りたいリアルな仕事の流れ

 

こんばんは、田浦マインドです。

「病院薬剤師って、実際どんな仕事をしているの?」 「1日のスケジュールってどんな感じ?」

薬学生や就活中のみなさんから、こういう質問をいただくことが多いです。

教科書や求人票には書いていないリアルな話を、病院薬剤師22年目の私が包み隠さずお伝えしていきます。


私のプロフィールとざっくり職場紹介

私は奈良県にある総合病院の薬剤部に勤務しています。

主に管理職を行っていますが、日々患者さんと向き合っています。

病院の規模や体制によってスケジュールは変わりますが、「病院薬剤師ってこういうものか」 というイメージを持つ参考にしていただければ嬉しいです。


病院薬剤師の1日スケジュール(日勤の場合)

▼ 8:30 出勤・申し送り

まず前日夜間の情報を確認します。

  • 急変患者はいたか
  • 新規入院はあったか
  • 処方変更・注射変更はあったか

朝の情報収集は1日の動きを左右します。

薬剤師は「処方箋を待っているだけ」ではありません。積極的に情報を取りに行くことが大切です。


▼ 9:00 調剤業務・処方監査

午前中は処方箋がどんどん届きます。

処方監査では

  • 用量が適切かどうか
  • 飲み合わせに問題がないか(相互作用)
  • 腎機能・肝機能に応じた投与量になっているか
  • 重複投薬になっていないか

といった点をチェックします。

「ただ薬を揃えるだけ」ではなく、患者さんの安全を守る最後の砦 として機能するのが薬剤師の役割です。

おかしいと思ったら、すぐ医師に確認します。これが大事。


▼ 10:00 病棟業務(病棟薬剤師業務)

調剤と並行して、担当病棟へ足を運びます。

病棟では

  • 入院患者さんへの持参薬確認
  • 服薬指導(患者さんへの薬の説明)
  • 医師・看護師へのDI(Drug Information)提供
  • 処方提案

など多岐にわたります。

私が特に大切にしているのは 「患者さんの話をしっかり聞くこと」 です。

「薬が飲みにくい」「副作用が出ている気がする」「飲み忘れが多い」

そういった声を拾い、医師や看護師と共有することが、チーム医療における薬剤師の大きな仕事です。


▼ 12:00 昼休憩

病院によりますが、お昼は45分〜1時間取れることが多いです。

院内の食堂で食べることもあれば、勉強会や委員会が入ることも。

ゆっくり休める日ばかりではありませんが、仲間と話しながら食べるお昼は、仕事の活力になっています。


▼ 13:00 注射調剤・TPN・抗がん剤調製

午後は注射薬の調製業務が本格化します。

特に

  • TPN(高カロリー輸液)の混注
  • 抗がん剤の無菌調製(午前中に化学療法センターにて投与されることも多い)

は高い専門性が求められます。

抗がん剤は1mg単位で量を間違えると患者さんに深刻なダメージを与えるため、ダブルチェックを徹底しながら緊張感を持って行います。

このあたりの仕事は、病院薬剤師ならではのやりがいのある業務だと感じています。


▼ 14:30 NST回診(週1回)

NST(栄養サポートチーム)の回診がある日は、医師・看護師・管理栄養士・言語聴覚士などと一緒に病棟を回ります。

薬剤師としては

  • 薬剤と栄養の相互作用の確認
  • 腎機能・肝機能を踏まえた栄養投与量の提案
  • 薬の投与経路変更の提案(経口→経管 など)

といった観点から意見を述べます。

多職種で患者さんを支えるこの瞬間が、私は好きです。


▼ 16:00 DI業務・勉強・会議

医師や看護師から「この薬は妊婦に使えるか」「腎機能低下患者への投与量は」といった問い合わせに対応するのがDI業務です。

添付文書だけでなく、最新のエビデンスや文献を調べてフィードバックします。

また、委員会(医薬品安全管理委員会・感染対策委員会など)への参加や、後輩・研修薬剤師への教育も大切な仕事です。


▼ 17:30 退勤

業務をまとめて申し送り、退勤です。

残業が発生する日もありますが、できるだけ効率よく動いてプライベートの時間も確保するよう心がけています。


正直なところ、大変なこと

せっかくなのでリアルも書きます。

①業務量が多い

調剤・病棟・注射・DI・委員会・教育…と業務は幅広く、慣れるまでは大変です。

でも裏返せば、それだけ多くのことができる職場 という意味でもあります。

②責任の重さ

間違いが許されない仕事です。常に緊張感があります。

でも、その分「防げた」という達成感もひとしおです。

③勉強を続ける必要がある

医薬品は日々新しいものが出ます。新薬情報、ガイドラインの改訂、学会発表…常に学び続けないといけません。

ただ、勉強が好きな人にはむしろ楽しい環境だと思います。


病院薬剤師のやりがい

大変なことをいくつか書きましたが、やりがいはその何倍もあります。

  • 患者さんに「ありがとう」と言ってもらえた瞬間
  • 処方提案が採用されて患者さんの状態が改善した時
  • 後輩が成長していく姿を見た時
  • 多職種から「薬剤師に聞いて良かった」と言われた時

病院薬剤師は、チーム医療の中でなくてはならない存在 です。

薬の専門家として、患者さんと医療チームの橋渡し役になれる仕事。

私はこの仕事を選んで、本当に良かったと思っています。


薬学生・就活生へのメッセージ

「病院薬剤師に興味があるけど、自分に向いているかな?」

そう悩んでいる人に伝えたいのは、

「現場に来てみてほしい」

ということです。

実習や見学を通じて感じる空気は、ネットや本では絶対に伝わりません。

もし生駒市立病院に興味がある方、薬剤師のキャリアについて話を聞いてみたい方は、気軽に連絡をいただければと思います。


まとめ

今回は病院薬剤師の1日スケジュールを紹介しました。

  • 調剤・病棟・注射・DI・NSTなど業務は多岐にわたる
  • チーム医療の中で専門性を発揮できる仕事
  • 大変だけど、やりがいは本物

就活の参考に少しでもなれば嬉しいです。

また次の記事でお会いしましょう!


≪関連リンク≫ 

病院薬剤師 田浦マインド YouTubeチャンネル

薬剤師の話ブログ(専門情報)

2024年12月9日月曜日

心理的安全性の高い職場作りを考えよう! ※2026年6月 情報を更新しました

まず、こちらの動画をぜひご覧ください。

(YouTube動画)


「心理的安全性」という言葉を、みなさんはご存知ですか?

最近、職場や教育の現場でよく聞くようになったこの言葉。でも「なんとなく知っている」という方も多いのではないでしょうか。

私が心理的安全性という概念に本気で向き合うようになったのは、薬局長という立場になってからです。


心理的安全性とは何か

心理的安全性(Psychological Safety)とは、「チームの中で、自分の考えや疑問、ミスを率直に発言しても、罰せられたり恥をかかされたりしない」と感じられる環境のことです。

ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱した概念で、後にGoogleが自社の調査「Project Aristotle」で「最も生産性の高いチームに共通する最重要因子は心理的安全性だ」と発表したことで、世界中に広まりました。

難しく聞こえますが、要するに**「この場では何でも言っていい」と全員が感じられるかどうか**です。


病院という職場で、心理的安全性がなぜ重要なのか

医療現場では、心理的安全性の有無が患者さんの安全に直結します。

「この処方、少しおかしいかもしれないけど……先生に言いづらいな」「ミスに気づいたけど、怒られるのが怖くて報告できない」

こうした「言えない空気」が、インシデントや医療事故の背景にあることは少なくありません。

逆に心理的安全性の高い職場では、「少し気になることがあるんですが……」という小さな声が上がりやすくなります。その一言が、大きな事故を未然に防ぐことがあります。

22年間病院薬剤師として働いてきた中で、これを何度も実感してきました。


心理的安全性を下げる「4つの不安」

エドモンドソン教授は、心理的安全性を妨げる要因として以下の4つの不安を挙げています。

① 無知だと思われる不安「こんなことも知らないのか」と思われたくないから、わからなくても質問できない。

② 無能だと思われる不安「こんなミスをするのか」と思われたくないから、失敗を隠す・報告しない。

③ 邪魔をしていると思われる不安「そんな余計なことを言って」と思われたくないから、意見や提案をしない。

④ ネガティブだと思われる不安「批判的な人だ」と思われたくないから、問題点を指摘しない。

この4つ、医療現場でも職種を超えてよく見られる心理です。特に「無知・無能と思われる不安」は、新人スタッフや異動してきたばかりのメンバーが感じやすいものです。


薬局長として、私が意識してきたこと

心理的安全性は「仲良し職場を作ること」ではありません。ぬるい環境を作ることでもない。

**「意見や失敗を率直に出せる環境の中で、高い目標に挑戦できること」**がゴールです。

私が薬局長として特に意識してきたのは、以下の3点です。

自分のミスや失敗を率直に開示する 上司や先輩が「実はこの前こういうミスをして、こう対処した」と話せると、スタッフも報告しやすくなります。謝れる上司は弱い上司ではなく、チームに安心感を与える存在です。

「いい質問だね」を口癖にする 「そんなこと聞くの?」という反応が一度あると、その人は二度と質問しなくなります。どんな質問にも「よく気づいたね」「いい視点だね」と反応することで、発言のハードルを下げられます。

失敗を責めず、仕組みを問う 「なぜそんなことをしたの?」ではなく、「どういう状況でそうなったの?次はどうすればいい?」という問いかけへ変える。これだけでスタッフの報告率が変わります。


心理的安全性は一朝一夕では作れない

心理的安全性の高い職場は、「今日から仲良くしよう」という宣言で生まれるものではありません。

日常の小さなやり取りの積み重ねによって、少しずつ醸成されていくものです。

上司の一言、先輩の反応、ミスへの対処の仕方、会議での発言へのリアクション——こうした日々の行動が、職場の空気を作っていきます。

リーダーの役割は、その「空気の土台」を意識的に整え続けることだと感じています。


まとめ

  • 心理的安全性とは「何でも言える安心感」——仲良し職場とは違う
  • 医療現場では患者安全に直結する重要な概念
  • 4つの不安(無知・無能・邪魔・ネガティブと思われること)が発言を妨げる
  • リーダーが率先して失敗を開示し、発言を歓迎する姿勢が土台を作る
  • 日々の小さな積み重ねが職場の空気を変えていく

動画と合わせて、少しでも参考になれば嬉しいです。

心理的安全性について、もっと詳しく知りたい方はエイミー・エドモンドソン著『恐れのない組織』もおすすめです。


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2024年5月30日木曜日

NST(栄養サポートチーム)における薬剤師の介入とは?NST専門療法士が現場から解説 ※2026年6月 情報を更新しました

まず、こちらの動画をご覧ください。

はじめに:薬剤師がNSTに関わる意味

「栄養管理って、医師や管理栄養士の仕事じゃないの?」

NSTに関わり始めた頃、そう思っていた時期が私にもありました。

しかし22年間病院薬剤師として働き、NST専門療法士の資格を取得した今は、全く逆の確信を持っています。

薬剤師がNSTに介入することで、患者さんの栄養管理は確実に変わります。

その理由を、この記事で具体的にお伝えします。


NSTとは何か

**NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)**とは、患者さんの栄養状態を評価・管理・改善するために多職種が連携して活動するチームです。

通常は医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・言語聴覚士・リハビリスタッフなどで構成されます。

NSTが重要視される背景には、病院内の低栄養問題があります。入院患者の30〜50%が低栄養状態にあるとも言われており、低栄養は感染症リスクの上昇・創傷治癒の遅延・在院日数の延長・死亡率の増加など、多くの悪影響をもたらします。

適切な栄養管理によってこれらを改善することが、NSTの目的です。


薬剤師がNSTで担う役割

薬剤師がNSTで果たせる役割は、他職種には代えがたいものがあります。主に以下の5つです。

① 薬物と栄養の相互作用の管理

薬と食事・栄養剤の間には様々な相互作用があります。たとえばワルファリンとビタミンKを多く含む栄養剤の組み合わせ、フェニトインと経腸栄養剤の吸収干渉、MAO阻害薬とチラミン含有食品の危険な組み合わせなど。これらを把握して適切な指示を出せるのは薬剤師ならではの専門性です。

② TPN(完全静脈栄養)の処方設計への参加

TPNの処方は糖・アミノ酸・脂肪・電解質・微量元素・ビタミンのバランスを精密に計算する必要があります。薬剤師はその処方内容を評価し、配合変化・過不足・腎機能や肝機能に応じた調整について医師に提案します。特にリフィーディング症候群(長期絶食後の栄養再開時に起こる電解質異常)の予防は、薬剤師の介入が重要な場面のひとつです。

③ 投与経路の適切性評価

「経口→経腸→静脈」という栄養投与の優先順位(Gut is Gold の原則)を常に意識しながら、現在の投与経路が患者さんにとって最善かを薬剤師の視点から評価します。また経腸栄養剤の種類選択(標準的な栄養剤か、疾患特異的な栄養剤か)についても提案できます。

④ 薬剤の栄養状態への影響の評価

ステロイド投与による筋肉量の減少、利尿薬による電解質異常、一部の抗菌薬によるビタミンK欠乏——多くの薬剤が栄養状態や栄養素の代謝に影響を与えます。処方全体を把握している薬剤師だからこそ、こうした視点でNSTラウンドに貢献できます。

⑤ 簡易懸濁法・経管投与可能な薬剤の確認

経腸栄養を行っている患者さんでは、内服薬を経管投与する場面が生じます。どの薬剤が粉砕・簡易懸濁法に適しているか、経管投与時の注意点は何か——これも薬剤師の専門知識が直接役に立つ場面です。


NSTラウンドで薬剤師が見ているポイント

実際のNSTラウンドで私が特に意識しているチェックポイントを共有します。

リン・マグネシウム・亜鉛などの微量元素

長期TPNや経腸栄養の患者さんでは、これらの微量元素が欠乏しやすく見落とされがちです。特にリン欠乏は重篤な症状(呼吸筋力低下・意識障害)につながることがあります。定期的なモニタリングと補充の提案を行います。

薬剤起因性の食欲低下・消化器症状

「食欲がない」「吐き気がある」という患者さんの背景に、薬剤の副作用が隠れていることがあります。NST介入前に薬剤整理が必要なケースは少なくありません。


NST専門療法士とは

NST専門療法士は、日本静脈経腸栄養学会(現:日本臨床栄養代謝学会)が認定する資格で、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師など複数の職種が取得できます。

取得には一定の臨床経験とセミナー受講・試験合格が必要であり、NST活動における高い専門性の証明になります。

私が取得したのは鹿児島での勤務時代——離島(沖永良部島)での医療経験も含めて、栄養管理の重要性を身をもって感じてきた積み重ねが、この資格への挑戦につながりました。


離島・僻地医療とNST:私の原点

沖永良部島で勤務していた頃、専門スタッフが少ない環境の中で、薬剤師として栄養管理に深く関わらざるを得ない場面が何度もありました。

管理栄養士がいない日も、医師が一人しかいない夜も、「この患者さんの栄養をどうするか」を薬剤師として考え続けた経験が、私のNSTへの向き合い方の原点です。

「薬剤師にできることはもっとある」という感覚は、あの離島での日々から生まれました。


薬学生・若手薬剤師へ:NSTに積極的に関わってほしい理由

NSTへの参加をためらっている薬剤師・薬学生に、一つだけ伝えたいことがあります。

NSTは、薬剤師がチーム医療の中で専門性を発揮できる最も分かりやすいフィールドのひとつです。

処方監査・服薬指導といった「薬剤師らしい仕事」の外に踏み出すことで、他職種からの見え方が大きく変わります。「この薬剤師はNSTでも動いてくれる」という信頼は、日常の業務でも必ず返ってきます。

栄養の知識は特別難しいものではありません。まずNSTラウンドに参加し、カルテを読み、疑問を口にするところから始めれば十分です。


まとめ

  • NSTは多職種で患者の栄養管理を行うチーム。入院患者の低栄養改善が目的
  • 薬剤師の主な役割は薬と栄養の相互作用管理・TPN処方設計・投与経路評価・微量元素モニタリング・簡易懸濁法の確認
  • リフィーディング症候群・微量元素欠乏は見落とされやすく薬剤師の目が重要
  • NSTは薬剤師がチーム医療で専門性を発揮できる絶好のフィールド
  • まずラウンドに参加することが最初の一歩

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2022年10月12日水曜日

自己肯定感とは何か?高める方法を病院薬剤師が考える|2022年10月コラボLIVE配信 ※2026年6月 情報を更新しました

まず、こちらのコラボLIVE配信動画をご覧ください。

はじめに:「自己肯定感」という言葉があふれている時代

「自己肯定感を高めよう」「自己肯定感が低いから○○できない」

ここ数年で、自己肯定感という言葉をよく聞くようになりました。書店には関連書籍が並び、SNSでも頻繁に話題になります。

でも「自己肯定感って、結局何なんだろう?」と、あらためて考えたことはありますか?

言葉は知っているけれど、自分の自己肯定感がどういう状態なのか、どうすれば高められるのか——漠然としたままの方が多いのではないかと思います。

このコラボライブでErikaさんと話しながら、私自身も改めて整理できたことがたくさんありました。この記事では、ライブの内容を踏まえながら、私なりの言葉で「自己肯定感」について書いていきます。


自己肯定感とは何か

自己肯定感とは、**「自分が自分であることをそのまま認め、受け入れられる感覚」**のことです。

「自分は価値ある存在だ」「失敗しても自分は大丈夫だ」という内側からの安心感、と言い換えることもできます。

よく混同されるのが「自己効力感」や「自信」との違いです。

言葉意味
自己肯定感条件なしに「自分でいていい」と感じる感覚
自己効力感「これはできる」という特定の能力への確信
自信経験や実績に基づく「うまくやれる」という感覚

自己肯定感は結果に関係なく存在するのが特徴です。「成功したから自分はOK」ではなく、「失敗しても自分はOK」と思えるかどうか——これが自己肯定感の核心です。


自己肯定感が低いとどうなるのか

自己肯定感が低い状態が続くと、様々な影響が出やすくなります。

人間関係への影響として、他人の評価が気になりすぎる・断れない・自分の意見が言えない・必要以上に謝る、などが挙げられます。

仕事・学習への影響として、失敗を恐れてチャレンジできない・ミスをひどく引きずる・「どうせ自分には無理」と思いやすい、などが起こりやすくなります。

心身への影響として、慢性的な疲労感・自己批判が止まらない・他者と比較してしんどくなる、なども出てきます。

医療現場でも、自己肯定感の低いスタッフは報告・連絡・相談を躊躇しやすく、結果として患者安全にも影響することがあります。これは心理的安全性とも深くつながっています。


自己肯定感が低くなる原因

自己肯定感は生まれつき固定されているわけではなく、生育環境・経験・習慣によって形成され、変化します。

低くなりやすい原因として代表的なものを挙げます。

幼少期の経験として、親や周囲の大人から「もっとがんばれ」「なんでできないの」という言葉を繰り返し受けてきた場合、「ありのままの自分ではダメだ」という感覚が根づきやすくなります。他の子と比較され続けた経験も同様です。

失敗体験の積み重ねとして、失敗を「結果だけ」で評価し続ける環境では、失敗=自分の否定という回路ができやすくなります。

SNSや比較文化として、他者のキラキラした面だけが目に入りやすい現代では、「自分はダメだ」という感覚が強化されやすい構造があります。


自己肯定感を高めるために:具体的なアプローチ

自己肯定感は高めることができます。ただし「今日から急に高くなる」ものではなく、小さな積み重ねによって少しずつ変わっていきます。

① 「できたこと」を意識的に記録する

1日の終わりに「今日うまくできたこと・頑張れたこと」を3つ書き出す習慣は、自己肯定感の土台を育てます。大きな成果である必要はありません。「ちゃんと起きた」「話しかけた」「最後まで読んだ」——それで十分です。

② 「自分への言葉」を変える

「どうせ私には無理」「また失敗した、最低だ」という内なる声は、繰り返すほど自己肯定感を下げます。「うまくいかなかったけど、やってみた」「次はどうしよう」という言葉に少しずつ置き換えていくことが、長期的に効果を持ちます。

③ 他者比較をやめる練習をする

比べるべき相手は「昨日の自分」だけです。これは子どもの褒め方でも同じことを言いましたが、大人の自己肯定感にも同じ原則が当てはまります。

④ 「ありがとう」を受け取れるようにする

自己肯定感が低い人は、褒められたり感謝されたりしても「そんなことないです」と否定してしまいがちです。まず「ありがとうございます」と受け取る練習をするだけでも、自己肯定感の変化につながります。

⑤ 安心できる関係の中で自分を出す

心理的安全性の高い場所で「自分の考えを言えた」「否定されなかった」という体験の積み重ねが、自己肯定感の回復に大きく働きます。逆に、常に否定・批判される環境では自己肯定感は育ちません。


病院薬剤師として、自己肯定感について思うこと

医療現場では、完璧主義になりやすい文化があります。

ミスは許されない。正確さが命。そういう環境の中で、自分への評価が「ミスをしなかったか」だけに偏ってしまうと、自己肯定感はどんどん削られていきます。

後輩や実習生を見ていて感じるのは、「自分に厳しすぎる人」ほど、小さなミスを引きずって立ち直るのに時間がかかるということです。

薬剤師として正確さを大切にしながら、同時に「失敗しても自分は大丈夫」という感覚を持てること——この両立が、長く医療現場で働き続けるためにとても重要だと感じています。

自己肯定感は、患者さんへの接し方にも出ます。自分を大切にできている人は、患者さんへの言葉も自然と温かくなります。


【当時の記録】2022年YouTube100投稿への挑戦

この動画を投稿した2022年10月11日時点で、私はYouTubeに37投稿(限定公開含むと71投稿)を達成していました。

2022年中にYouTube動画を100投稿するという目標を掲げていた時期です。Erikaさんとのコラボライブはその一環で実現したもので、今振り返っても充実した挑戦でした。目標を声に出して宣言し、コツコツと積み上げていく——それ自体が、自己肯定感を育てるプロセスだったと思います。


まとめ

  • 自己肯定感とは「条件なしに自分でいていい」と感じる感覚
  • 自己効力感・自信とは異なり、結果に関わらず存在するもの
  • 低い状態が続くと人間関係・仕事・心身に影響が出やすい
  • 幼少期の経験・失敗体験・比較文化が自己肯定感を下げやすい
  • 高めるには「できたこと記録」「自分への言葉の置き換え」「他者比較をやめる」などの小さな積み重ねが有効
  • 心理的安全性の高い環境は自己肯定感の回復を助ける
  • 医療現場でも「正確さ」と「自分を許せる感覚」の両立が大切

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