2026年7月1日水曜日

プロブレムリストの作り方:患者の問題を整理して可視化する【薬歴シリーズ⑩】

 こんばんは、田浦マインドです。

POSの中核となる「プロブレムリスト(問題リスト)」の作り方を解説します。プロブレムリストは薬剤師が服薬指導の方向性を決める「羅針盤」となる重要なツールです。


プロブレムリストとは

プロブレムリスト(問題リスト)とは、患者情報を収集し、患者の問題点を明確にして整理したものです。

「その患者さんのことが一目でわかる、本の目次のようなもの」

と覚えておくと理解しやすいでしょう。


プロブレムリスト作成の流れ

STEP1:情報の確認

収集したS(主観的データ)・O(客観的データ)を確認します。

STEP2:情報の整理

集まった情報を整理し、薬剤師の視点で問題点を抽出します。

STEP3:問題ごとにネーミング

各問題点に「プロブレム名(#〇〇)」をつけます。

プロブレムリストの例:

#1 血圧コントロール不良:アムロジピンの有効性の評価
#2 服薬困難に関連したフェロミアの服薬ノンコンプライアンス
#3 腎機能低下患者に対するファモチジンの過量投与
#4 ベザトールSR投与による横紋筋融解症発現の可能性

プロブレムのネーミング方法

わかりにくいネーミングと、わかりやすいネーミングを比べてみましょう。

△ わかりにくい例

#ノンコンプライアンス
#副作用
#浮腫

→ これだけでは何が問題なのか伝わりません。

○ わかりやすい例

基本フォーマット:「原因・成因 に関連した 問題の状況

例)「ノンコンプライアンス」よりも「理解不足に関連したノンコンプライアンスの可能性」のほうが、読む人に意図が伝わります。

難しく考えすぎず、「内容が分かりやすいこと」を優先してネーミングしましょう。


薬剤師がプロブレムとすべき6つの項目

薬剤師のプロブレムリストは、以下の6カテゴリから考えると整理しやすいです。

1. コンプライアンスに関する問題 例)服薬困難に関連したフェロミアの服薬ノンコンプライアンス 例)インスリン自己注射手技の未習得

2. 症状緩和に対する問題(痛み・睡眠・排便など) 例)排便コントロール不良に関連した下剤の選択

3. 薬物治療に対する問題(副作用・相互作用) 例)ベザトールSR投与による横紋筋融解症発現の可能性 例)クラビット併用によるワーファリンの作用増強の可能性

4. 薬物の体内動態(腎機能・肝機能) 例)腎機能低下患者に対するファモチジンの過量投与

5. 薬物治療の効果的因子(投与計画・剤形選択) 例)血糖コントロール不良に対するインスリンの投与計画

6. その他(栄養管理・リハビリ・他職種協力) 例)栄養管理に関連した問題(管理栄養士と連携)


プロブレムリスト作成の3つのポイント

① 薬剤師が解決できる問題を挙げる

その場で解決できることはプロブレムリストに挙げる必要はありません。解決に時間がかかる問題・継続的な介入が必要な問題をリストに上げます。

② 細かすぎる問題を取り上げない

問題が多くなりすぎると、リストが煩雑になり、何が重要な問題かが不明瞭になります。

③ 優先順位を検討する

複数のプロブレムが挙がったら、取り組む優先順位を考えましょう。

優先順位の基準:

  • 早急にリスク回避が必要な問題(併用禁忌・副作用発現など)を最優先
  • リスクはまだ起きていないが起こりうる可能性がある問題
  • 長期的に取り組む必要がある問題

ネーミング例の実例集

薬物治療管理に関するプロブレム

#(疾患名等)に関連した(薬剤名)の投与計画
 例)血糖コントロール不良に対するインスリンの投与計画

#(疾患名・検査値)のコントロール不良:(薬剤名)の有効性の評価
 例)血圧コントロール不良:アムロジンの有効性の評価

#(疾患名等)に対する治療薬の選択
 例)便秘に対する下剤の選択

#腎機能低下患者に対する(薬剤名)の過量投与
 例)腎機能低下患者に対するエリキュースの過量投与

副作用発現・可能性に関するプロブレム

#(薬剤名)の投与による(臨床症状)発現
 例)モルヒネ投与による便秘

#(薬剤名)の投与による(臨床症状)発現の可能性
 例)ベザトールSR投与による横紋筋融解症発現の可能性

#(薬剤名)の投与に関連した副作用発現の要観察状態
 例)プレドニン投与に関連した副作用発現の要観察状態

コンプライアンスに関するプロブレム

#(原因・誘因)に関連した(薬剤名)の服薬ノンコンプライアンス
 例)服薬困難に関連したフェロミアの服薬ノンコンプライアンス

#(吸入・インスリン自己注射等)手技の未習得
 例)インスリン自己注射手技の未習得

まとめ

  • プロブレムリストは「患者の問題を一目でわかる目次」
  • ネーミングは「原因・成因 に関連した 問題の状況」の形式が基本
  • 薬剤師のプロブレムは6カテゴリ(コンプライアンス・症状緩和・副作用・体内動態・投与計画・その他)
  • 細かすぎる問題は挙げない、優先順位を常に意識する
  • プロブレムリストを立てるだけにならず、必ず初期計画(Op・Cp・Ep)につなげる

次回はプロブレムリストができたら次に行う「初期計画(Op・Cp・Ep)の立て方」を解説します。


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