2009年3月1日日曜日

■マムシ咬傷中毒

最近忙しかぁ~ブログをゆっくり書く時間がないよ~(><;)
9月23日に当直してたときにマムシに咬まれた患者様が救急車で運ばれてきました。
なぜか2週間で、マムシで咬まれた人の救急が2件目です。
田んぼで、マムシに咬まれたとのこと。
以前より、マムシがいるような穴があったとのこと。
そういう穴に気づいてるんだったら何か対処してくださいな~∑( ̄口 ̄)

【自然毒:マムシ】
蛇毒成分(酵素)
▼中毒量・致死量
マムシ毒液
・マウス静注LD50 0.9mg/kg
・マウス筋注LD50 5mg/kg
・出血活性0.14μg
・ヒト致死率0.1%前後
▼毒性機序
◇ホスホリパーゼ・・・強力な溶血作用。レシチンに作用してリゾレシチンを生成し、それが赤血球を破壊する。
◇エンドペプチダーゼ・・・血管透過性の亢進、局所壊死、出血DICを惹起する。
◇ヒアルロニダーゼ・・・毒の拡散を促進する。
◇ホスホジエステラーゼ・・・核酸分解作用。
◇トロンビン様酵素・・・レプチラーゼ(血液凝固作用)活性低い。
◇ブラジキニン遊離酵素・・・平滑筋の強い収縮、末梢血管拡張によるショック性の血圧降下など。
▼中毒症状
〔局所症状〕
受傷直後~数分後に咬傷部の激しい疼痛、腫脹(腫脹は2日で最高に達し、消退するのに2週間くらいかかる)。まれに水泡の形成がみられる。咬傷部の暗紫赤色化と出血班。筋壊死、所属リンパ節腫脹。
数時間経過しているにもかかわらず局所症状、所見に乏しい場合は軽症とみなしてよい。ただし、全身症状(複視、全身性の出血など)がみられる場合は要注意。
〔全身症状〕
◇潜伏期12~24時間
悪心・嘔吐・頭重感・頭痛・発熱・下痢・複視・霧視・しびれ・運動障害・めまい・著名な血圧の下降・チアノーゼ・呼吸不全・意識障害・腎不全・全身性の出血・DIC・心不全・溶血・ミオグロビン尿・ショック。
マムシ咬傷の既住を有する症例では蛇毒、抗毒素血清の再注入によるアナフィラキシーショックの発生に注意する。
筋壊死を生ずればAST・Al-P・CPKの上昇がみられる。
〔備考〕
・マムシは毒液を毒牙の先端より離れた側孔から流出するため、衣服の上、踵や下腿の頸骨前面などでは、毒液が組織内へ注入されない。このため無毒咬症がみられる。
・また幼児や老人などでは、次回の攻撃を反射的に避けることができず、2回以上咬まれ、注入毒量も増加し重症になることがある。
▼処置法
◇咬傷上位10~20cm部を軽く緊縛する。
◇咬傷部位の洗浄と消毒。
◇咬傷部位を小切開し毒液を吸引する(1時間以内であれば有効)。リバノール湿布をする。
◇輸液・・・乳酸リンゲル液
◇乾燥まむしウマ抗毒素(6時間以内であれば有効)。血清病の予防と治療に十分配慮する。
1回1バイアル静注、症状の軽減がみられないときは、さらに1/2~1バイアルを追加する。用量は小児も同様である。投与前に皮内テストを行い、アナフィラキシーに注意して投与する。
◇抗生物質投与(広域スペクトラルを有する薬剤を使用する)
◇破傷風トキソイド・抗破傷風人免疫グロブリン(テタノブリンIH)投与。予防接種歴を考慮すること。
◇筋膜切開:腫脹が著しく、チアノーゼ、冷感、水泡形成、知覚鈍麻などが現れたら直ちに行う。
◇セファランチン静注、局注(抗毒素血清が投与できない場合に用いる。ただし、重症時には効果が期待できない)
1回5~10mg、1日1回投与
◇対症療法 疼痛:消炎鎮痛剤
◇血漿交換(PE)・・・重症例

今回は、マムシ抗毒素を使わなかったのですが、でも2週間で2例も症例があったので、当院にマムシ抗毒素(28000円ぐらいだったかな?)の在庫を置くことになりました。
そしてマムシ咬傷対処マニュアルも収集しました。



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