「調剤薬局とドラッグストアって何が違うの?」という質問はよく受けます。同じ「薬剤師がいる場所」でも、仕事内容はかなり異なります。今回は両者の違いを詳しく解説します。
医薬分業とは何か
まず理解しておきたいのが「医薬分業(いやくぶんぎょう)」です。
医薬分業とは、薬の処方(医師の仕事)と調剤(薬剤師の仕事)を分離する制度のことです。
ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世(1194〜1250年)が「主治医が処方した薬を別の人にチェックさせた」のが始まりとされています。1240年には「医師が薬局を持つことを禁じる」法律が制定され、これが薬剤師制度のルーツです。
日本での医薬分業率は現在約70%以上。「病院を出て、処方箋を持って外の薬局に行く」というのが一般的になっています。
医薬分業の5つのメリット
①医師が診療に専念でき、薬剤師が調剤することで薬の使用がより安全になる
②処方箋により、患者さんの薬の処方内容が明らかになる
③かかりつけ薬局では薬の記録を保管してくれる。アレルギー・副作用歴を管理でき、安全性が高まる
④他の病院の処方と重複していたり、危険な飲み合わせがある場合、薬剤師が医師に問い合わせて処方変更につなげられる
⑤飲み忘れ防止のための一包化(ひとつの袋にまとめる)や、薬の情報を書いたメモの提供などができる
調剤薬局薬剤師の仕事
主な仕事内容
- 調剤業務:病院で発行された処方箋をもとに薬を調剤する
- 服薬指導:患者さんに服薬について説明する
- 薬歴管理:処方状況や患者さんから得た情報を記録・管理する
向いている人
- 正確性を重視してコツコツ仕事ができる人
- 責任感がある人
- 患者さんとのコミュニケーションが好きな人
調剤薬局では「かかりつけ薬局」として患者さんの健康を継続的にサポートします。同じ患者さんに長期的に関わることで、信頼関係が生まれ、変化に気づきやすくなります。
ドラッグストア薬剤師の仕事
主な仕事内容
- 一般用医薬品(OTC医薬品)・サプリメント・健康食品の服薬指導・販売
- 医薬品以外の商品(日用品・化粧品など)の管理
- レジ打ちや品出しなど、薬剤師業務以外の仕事も担当することがある
向いている人
- 接客が好きな人、コミュニケーション力が高い人
- 幅広い健康全般の知識を身につけたい人
- オールマイティーな薬剤師を目指したい人
ドラッグストアは接客の機会が多く、医薬品以外の知識も必要になります。「薬だけでなく健康全般のプロ」として活躍できる反面、業務の幅が広い分、負担も大きくなることがあります。
調剤薬局とドラッグストアの比較
| 調剤薬局 | ドラッグストア | |
|---|---|---|
| 主な業務 | 処方箋調剤・服薬指導 | OTC販売・服薬指導 |
| 扱う薬 | 医療用医薬品(処方薬)中心 | 一般用医薬品(市販薬)中心 |
| 患者との関係 | 継続的(かかりつけ) | 単発が多い |
| 薬剤師業務外の仕事 | 少ない | 多い(レジ・品出しなど) |
| 必要な知識 | 医療用医薬品・薬歴管理 | 幅広い健康・美容情報 |
どちらが「薬剤師らしい」仕事か
よく薬剤師の間で話題になる問いですが、私はどちらも「薬剤師らしい大切な仕事」だと思っています。
調剤薬局では処方薬の専門知識を深められ、患者さんとの継続的な関係が持てます。ドラッグストアでは広い健康知識が身につき、普通に生活している方が「薬剤師に相談できる」という入口になっています。
どちらが自分に合っているかは、自分の価値観やライフスタイルによって変わります。
まとめ
- 医薬分業:処方(医師)と調剤(薬剤師)を分ける制度。ヨーロッパ発祥で800年の歴史
- 医薬分業のメリット:医師が診療に専念・薬の安全性向上・飲み合わせ確認
- 調剤薬局:処方薬中心・患者さんとの継続関係・正確性重視
- ドラッグストア:市販薬中心・幅広い知識・接客重視・業務範囲が広い
次回は病院薬剤師の仕事と魅力を解説します。
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