2026年6月23日火曜日

薬歴の記載事項:法律で定められた必須11項目を解説【薬歴シリーズ②】

 こんばんは、田浦マインドです。

「薬歴に何を書けばいいか分からない」——薬学生や若手薬剤師からよく聞く悩みです。実は厚生労働省のガイドラインに、必ず記載すべき11項目が明示されています。今回はその全容を解説します。


厚生労働省が定める薬歴の記載事項

薬剤服用歴の記録(薬歴)への記載事項は、厚生労働省によって以下の11項目が定められています。

ア:患者の基礎情報 氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所・必要に応じて緊急連絡先

イ:処方および調剤内容 処方した保険医療機関名・処方医氏名・処方日・処方内容・調剤日・処方内容に関する照会の内容など

ウ:患者の体質 アレルギー歴・副作用歴を含む体質、薬学的管理に必要な患者の生活像、後発医薬品の使用に関する患者の意向

エ:疾患に関する情報 既往歴・合併症・他科受診において加療中の疾患に関するものを含む

オ:併用薬の状況 要指導医薬品・一般用医薬品・医薬部外品・健康食品を含む。服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況も含む

カ:服薬状況 残薬の状況を含む

キ:患者の服薬中の体調の変化 副作用が疑われる症状など。患者またはその家族等からの相談事項の要点

ク:服薬指導の要点

ケ:手帳活用の有無 手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無

コ:今後の継続的な薬学的管理および指導の留意点

サ:指導した保険薬剤師の氏名


各項目のポイント

ア・イ:基礎情報と処方内容

基礎情報は初回来局時に収集します。保険情報は算定のためにも必要です。処方内容は「前回からの変更点」を意識して記録することが重要です。

ウ:体質情報(アレルギー歴・副作用歴)

これは最も重要な安全管理情報のひとつです。「前回アレルギーがあると言っていたのに、記録がない」では大変危険です。初回来局時に必ず聴取し、その後も継続確認します。

エ・オ:疾患と併用薬

他科受診の有無・一般用医薬品・健康食品まで確認することで、相互作用や重複投薬を防げます。「病院の薬だけ確認すれば十分」ではありません。

カ:服薬状況(残薬含む)

残薬の確認は重要です。「飲み忘れが週2回ある」という情報は、単なる「飲めていない」より具体的で次の指導につながります。

キ:体調変化と相談事項

患者さんが感じている副作用のような症状を記録します。「なんとなく体がだるい」「最近めまいがする」——こうした訴えを記録しておくことで、後から薬との因果関係を検討できます。

ク:服薬指導の要点

「服薬指導実施」だけでは不十分です。何を確認し、何を指導したのかを具体的に記載してください。「副作用について説明した」ではなく「アムロジピンの副作用として足のむくみが出ることを説明した」と書く方が良い記録です。

コ:次回の留意点

「次回来局時に残薬確認」「次回はHbA1cの結果を確認」など、次につなげる情報を必ず残すことが継続的な薬学的管理の基本です。


疾病に関する一般的な生活指導は「薬学的管理」ではない

ひとつ重要な注意点があります。

「水分をたくさん摂ってください」「運動しましょう」などの一般的な生活指導は、薬学的管理とはいえません。

薬歴に記載する内容は、薬と直接関連した薬学的視点からの指導であることが求められます。


薬歴は処方箋受付のたびに更新する

薬剤服用歴の記録は、処方箋を受け付けるたびに患者情報を確認し、新たに収集した情報を踏まえた上で、その都度過去の薬歴を参照して記録します。

また、同一患者についての全ての記録が、必要に応じて直ちに参照できるよう患者ごとに保存・管理することが義務づけられています。


まとめ

薬歴の必須記載事項11項目:

  • ア:患者の基礎情報
  • イ:処方・調剤内容
  • ウ:体質(アレルギー歴・副作用歴)・生活像
  • エ:疾患情報(既往歴・合併症)
  • オ:併用薬・相互作用のある飲食物
  • カ:服薬状況(残薬含む)
  • キ:体調変化・相談事項
  • ク:服薬指導の要点
  • ケ:手帳活用の有無
  • コ:今後の管理・指導の留意点
  • サ:指導した薬剤師の氏名

これらを意識して記録することで、継続的で質の高い薬学的ケアが提供できます。

次回はいよいよ「SOAP形式」の基本構造について解説します。


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