2026年6月25日木曜日

S(主観的情報)の書き方:患者の言葉をどう記録するか【薬歴シリーズ④】

 こんばんは、田浦マインドです。

SOAPの中で「S(主観的情報)」は患者さんの生の声を記録する部分です。一見シンプルですが、実は書き方を間違えると、あとで大変なことになります。今回はSの書き方を徹底解説します。


Sとは何か

S(Subjective:主観的情報)とは、患者さんや家族から直接聞き取った情報です。

患者さんが「感じている」「言っている」ことを記録します。薬剤師の解釈や判断は一切含めません。


Sに記載すべき7つの項目

  1. 体調・症状に関する訴え(「頭が痛い」「眠れない」など)
  2. 薬の効果実感(「飲んでから痛みが楽になった」など)
  3. 副作用と思われる症状(「胃がムカムカする」など)
  4. 服薬状況(「週に2〜3回飲み忘れる」など)
  5. 生活習慣の変化(「最近食欲がない」「運動を始めた」など)
  6. 市販薬・健康食品の使用状況
  7. 患者さんの不安や疑問(「この薬をずっと飲み続けても大丈夫?」など)

効果的な情報収集のコツ

オープンクエスチョンから始める

「最近のお体の調子はいかがですか?」 「お薬を飲んでみてどうでしたか?」

まず広く聞いて、患者さんが話しやすい環境を作ります。

クローズドクエスチョンで詳細を確認

「頭痛は毎日ありますか?」 「痛みは何時頃発生しますか?」

具体的な情報を引き出すために使います。

症状を具体的に聞き出す

  • いつから(When)
  • どこが(Where)
  • どのように(How)
  • どのくらい(How much)

の4点を意識すると、漏れのない情報収集ができます。


Sの記載例(良い例)

S:「ロキソニンを飲むと胃が痛くなる」と訴えあり。
  痛みは服用後30分程度で発生し、1〜2時間持続するとのこと。
  食後に服用しても同様に発生。先週から市販の整腸剤も服用しているが改善なし。
  「胃薬も処方してもらえないか」と希望あり。

患者の言葉をできるだけそのまま引用し、具体的な状況がわかるように記録されています。


よくあるNG例と修正例

NG例①:曖昧な記録

S:体調良好。

→ 「体調良好」では何も情報がありません。患者が本当にそう言ったのか、薬剤師がそう判断したのかも不明。次回に活かせる情報がゼロです。

修正例:

S:「先月から続いていた肩こりが良くなってきた」と自己申告あり。
  痛みの程度は10段階で8→4に改善。

NG例②:薬剤師の解釈を混ぜてしまう

S:患者は、発現している眠気が副作用であると訴えた。

→「副作用」と断定しているのは患者ではなく薬剤師の解釈です。Sには患者の言葉そのままを書きます。

修正例:

S:「最近昼間に眠くなることが多い」と本人訴え。

副作用かどうかの判断はAで行います。


NG例③:漠然とした記録

S:飲み忘れあり。

→ どのくらい飲み忘れたのか、なぜ飲み忘れるのかが全く不明。

修正例:

S:「週に2〜3回飲み忘れる」と本人談。
  朝の忙しい時間帯に忘れやすいとのこと。

「どのくらい・いつ・なぜ」を具体的に記録することで、次の指導内容が変わります。


高齢者・認知症患者への注意点

高齢者や認知症患者は正確に症状を伝えられないことが多いです。

このような場合は、家族・介護者からの情報収集、近隣薬局への照会を積極的に行い、「家族から聴取」「介護記録より」などと情報源を明記しましょう。


セルフチェックリスト(S)

薬歴を書いたら、以下を確認してください。

  • □ 患者の発言を「そのまま」記録しているか
  • □ 「問題なし」など曖昧な表現で終わっていないか
  • □ 症状・不安・希望・生活習慣などが具体的に書かれているか
  • □ 薬剤師の評価・解釈が混ざっていないか

まとめ

  • Sは患者の言葉をそのまま記録する欄。薬剤師の解釈を混ぜない
  • 「体調良好」「問題なし」などの曖昧表現は避ける
  • 症状はいつ・どこで・どのように・どのくらいを具体的に
  • 高齢者は家族や介護者からの情報収集も積極的に活用する

次回はO(客観的情報)の書き方を解説します。


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薬歴の記載事項② 

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