2026年6月24日水曜日

SOAP形式とは?薬歴の基本構造を4つの要素で理解する【薬歴シリーズ③】

 こんばんは、田浦マインドです。

現在の薬局・病院薬剤師業務では「SOAP形式」での薬歴記載が主流となっています。しかし「なんとなくSOAPで書いているけど、各項目の意味が曖昧」という方も多いのではないでしょうか。今回はSOAPの基本構造をしっかり整理します。


SOAPとは

SOAPとは、患者情報を4つの要素に分けて記録する方法です。

  • S(Subjective):主観的情報
  • O(Objective):客観的情報
  • A(Assessment):評価
  • P(Plan):計画

これはPOS(Problem Oriented System:問題志向型システム)の考え方に基づいた記録形式です。


S/OとA/Pの構造的な違い

SOAPを理解する上で最も重要なのは、S/OとA/Pの「立場の違い」です。

S・O → 患者側の情報

患者さんや家族から聞いた言葉(S)と、薬剤師が客観的に確認できた情報(O)です。

A・P → 医療者側の情報

S・Oを見て薬剤師がどのように考えたか(A)と、その判断に基づいて何を指導・計画したか(P)です。

「S/Oを見てどう考えたかがA、その判断のもとで何をしたかがP」——この流れを理解すると、SOAP全体の論理的なつながりが見えてきます。


各要素の詳細

S(Subjective:主観的情報)

患者さんや家族からの訴え・主訴です。患者の言葉をできるだけそのまま記録します。

記載する内容:

  • 体調・症状に関する訴え
  • 薬の効果実感
  • 副作用と思われる症状
  • 服薬状況(飲み忘れなど)
  • 生活習慣の変化
  • 市販薬・健康食品の使用状況
  • 患者さんの不安や疑問

記載例:「朝の薬をよく飲み忘れる」「最近、眠気が強い」

ポイント:患者の言葉をそのままの形で記録する。薬剤師の解釈を混ぜない。


O(Objective:客観的情報)

薬剤師が客観的に確認できる情報です。

記載する内容:

  • 処方内容とその変更点(増量・減量・追加・中止など)
  • 検査値(血液検査、HbA1c、PT-INRなど)
  • バイタルサイン(血圧、脈拍など)
  • 残薬数
  • 薬剤師が観察した所見(浮腫の有無、表情、歩行状態など)

記載例:「残薬7日分あり。血圧130/78mmHg、脈拍72/min。」

ポイント:数値や事実を正確に。前回値との比較も有用。


A(Assessment:評価)

S・Oを踏まえた薬剤師の薬学的評価です。問題点の抽出・分析を行います。新人薬剤師が最も難しいと感じる項目です。

評価の視点:

  • 有効性の評価(治療目標に対する効果、症状改善の有無)
  • 安全性の評価(副作用症状の有無と程度、薬物相互作用のリスク)
  • アドヒアランスの評価(服薬状況、理解度)

記載例:「飲み忘れによりアドヒアランス低下。眠気は処方薬(アレロック)の副作用の可能性あり。」

ポイント:S・Oをもとに薬剤師が判断した内容を書く。断定せず「可能性あり」と表現。


P(Plan:計画)

Aに基づき実行した服薬指導・次回の対応方針です。

記載する内容:

  • 今回実施した服薬指導の内容
  • 処方提案(医師へのフィードバック)
  • 次回来局時の確認事項
  • モニタリング計画

記載例:「服薬時間を決めるよう助言。眠気について医師に情報提供。次回、飲み忘れ状況を再確認。」

ポイント:「指導した」で終わらず「何を指導し、次回何を確認するか」を明記。


記載例で全体像を確認

以下は典型的なSOAP薬歴の例です。

S:「朝の薬をよく飲み忘れる」「最近、眠気が強い」
O:残薬7日分あり。血圧130/78mmHg、脈拍72/min。
A:飲み忘れによりアドヒアランス低下。
  眠気は処方薬(アレロック)の副作用の可能性あり。
P:服薬時間を決めるよう助言。眠気について医師に情報提供予定。
  次回、飲み忘れ状況を再確認。

SOAPのメリット

SOAP形式で書く利点は4つあります。

  1. 情報の整理がしやすい:患者情報と薬剤師の判断が明確に分かれる
  2. 臨床思考プロセスが明確になる:なぜそう判断したかが記録に残る
  3. 他の薬剤師が見ても理解しやすい:引き継ぎがスムーズ
  4. 問題点と対応策が明確になる:次回の指導に活かしやすい

書き方の4つのポイント

  1. 事実と評価を分ける:患者の発言や検査値は「S・O」、薬剤師の解釈は「A」に明確に分ける
  2. 再現性のある記録:他の薬剤師が読んでも患者の状況が理解できるよう、具体的に
  3. 次回に活かせる内容を書く:「何を確認し、何を指導し、次回どうするか」を残す
  4. 簡潔に:長すぎると活用されにくい

まとめ

  • SOAP = S(主観)・O(客観)・A(評価)・P(計画)の4要素
  • S/Oは患者側の情報、A/Pは医療者側の情報
  • S・Oを見てどう考えたかがA、その判断のもとで何をするかがP
  • 事実と評価を混ぜない、次回につながる記録を残す

次回はS(主観的情報)の具体的な書き方を詳しく解説します。


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